定員割れに陥っている地元の高校に、県外からも入学者をもっと呼び込みたい――。鳥取県内の5町が、それぞれの町内にある県立高の魅力を高めるため、県や県教育委員会と新たに連携協定を結んだ。共通するのは町の将来への強い危機感だ。
4月28日に鳥取市内で協定締結式があり、岩美、智頭、八頭、北栄、日野の5人の町長と平井伸治知事、足羽英樹・県教育長が出席して協定書を交わした。
協定の内容は、①県外からの生徒の募集活動やSNSなどでの学校のPRに取り組む「コーディネーター」の配置②県外生徒を受け入れるための住環境の整備――が大きな柱だ。①は町が配置するコーディネーターの人件費を県が一部補助する制度など、②は民間の寮の運営費や入居者が少ない寮の家賃相当額を県と町が補助することなどが盛り込まれた。
県教委によると、県内の中学校の卒業者数は1989年3月の9595人をピークに減少傾向となり、2024年3月は4693人とピーク時の半数以下に落ち込んだ。入学者が減った県立高では、部活動でチームが組めないなど学校生活への影響に加え、学校周辺の清掃活動や伝統芸能の伝承など生徒が地域と関わる機会も減り、地域の活力低下につながることが懸念されているという。
5町には県立高が1校ずつあるが、いずれも今春の入試で定員割れとなった。今回の協定は、県立高の存在自体を地域活性化の核と位置づける5町が県に協力を求めたもので、県と県教委は県内の全自治体に意向を聞いた上で、まず5町と協定を結んだ。
金児英夫・智頭町長は「5町が一緒に取り組むことで、各地域の学校の充実につながる」、﨏田淳一・日野町長は「地域と深い関係を築いている高校に大きな支援をもらえる」と期待する。
平井知事は「協定を生かし、自治体と県で具体的な話し合いと行動をそれぞれの地域で行い、次のステージを開いていければ」と話している。